群馬がん治療技術地域活性化総合特区
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スペシャルインタビュー

蔵前産業株式会社会長 橋本 勝

世界初は群馬発!中小企業の強みを生かして医療拠点形成に貢献

橋本勝近影
 蔵前産業株式会社会長 橋本 勝

■がん特区プロジェクトに蔵前産業はどのように取り組んでいますか

蔵前産業は、医療機器の部品を正確に動かすためのレール製造が会社の始まりです。高精度の切削加工が専門で、医療機器や半導体製造の部品などを製造しています。既に群馬大学と理化学研究所と共同で、重粒子線装置のフィルター開発に取り組んでいます。

今回のがん特区プロジェクトでは、群馬大学からその中核となるコンプトンカメラと超高速CTの開発への参加要請がありました。高精度にがん患部を位置決めして、重粒子線を止める深さと幅を決めるという群馬大学から要求は、従来の重粒子線装置では考えられないほど難しいものです。その開発には重粒子線装置以外にも様々な技術が必要で、大手と我々中小企業の連携が必須です。

群馬大学が附属病院として最初に重粒子線治療装置を導入しました。これをさらに良いものにして世界初として発信することがプロジェクトの目的です。元来コンプトンカメラは宇宙分野で研究が進められてきましたが、高度医療に応用できれば、がん治療の高精度化を可能にするのです。

超高速CTの開発では、従来型の1/3に小型化された群馬大学モデルの重粒子線治療装置に組み込める大きさにする必要があります。我が社の技術を生かしてそのメカトロニクス部分を担当します。群馬大学とのプロジェクトは、装置の安全性を医療現場ですぐに確認できる点が素晴らしく、開発には有利です。

■医療産業拠点形成において、群馬の中小企業の強みはどこですか

画像:ものづくり指南塾
 ものづくり指南塾

「オール群馬」を考えるとき、我々中小企業の力は侮れません。我が社は世界最高の研磨技術を持った理化学研究所の先生方と一緒に学べる「ものづくり指南塾」を主催しています。特許として公開できないほど高度なノウハウが学べる場です。前橋、太田、高崎、伊勢崎など県内商工会議所会員なら参加できます。現在は30社が加盟しています。

さらに社外の力も結集できるように、ベンチャー企業QMD(クアンタム・メディカル・ドライバー・コーポレーション)を共同で設立しました。超高速CTの設計は大変ですが、全力で開発に取り組む覚悟です。

医療産業拠点形成において中小企業の力を生かすには、ものづくりへの敬意を高める必要があります。昨年3月、群馬県金型工業会が卓越した金型技術・技能を有する技術者12名を「金型マイスター」に認定しました。海外企業が5倍の給与を出すと言って技術者を引き抜きしている時代に、マイスターがいることは会社の誇りであり強みです。メキシコを視察して日本企業の優秀さに気付かされ、我々は日本国内、群馬で事業を頑張る決意をしました。

蔵前産業(株)外観

金型マイスターに関する情報を英訳するなど、県庁や群馬銀行海外事業部などの支援には感謝しています。少し前まで潰れそうな中小企業にマイスターがいると知って、欧米の自動車メーカーから注文が舞い込んでいます。

我々は大手が開発した技術を真似しません。全く新しいものを作っていく気概があります。我々中小企業が持つ卓越した技術や技能を使いこなしてこそ、優れた医療機器が出来上がるのです。